五五雑記

五十代無職の日常です

ダン・アリエリー『予想通りに不合理』

投資をやるのに行動経済学って役に立つのかな。そう思って手にした本です。

目的には沿いませんでしたが、日常生活に役立ちそうな内容も多かったので、特に印象に残った部分を備忘録代わりに紹介します。

以下、2章「需要と供給の誤謬」からです。

価格の「刷り込み」

卵から孵ったばかりの雛が初めて目にする物体に愛着を持つ、いわゆる「刷り込み」。
モノの価格に対するわたしたちの意識・行動にも同じような現象が見られるそうです。

恣意の一貫性の基本的な概念は、たとえ最初の価格(アセールの真珠の価格など)が「恣意」的でも、それがいったんわたしたちの意識に定着すると、現在の価格ばかりか、未来の価格まで決定づけられる(したがって「一貫性」がある)というものだ。

わたしたちが初めて何かを購入する時は、価格や品質、入手するまでの手間などあれこれ検討して決定します。しかし、次回購入時にはそうした手続きを踏むことなく、前回下した決断にもとづいて同じ商品を同じ価格で購入するようになり、それが習慣化されます。さらに、その価格がアンカー(基準価格)となって、実際の価値以上の価格を受け入れやすくなるそうです。

職場の無料コーヒーで満足していた人が、2ドル20セントのショートコーヒーでスタバ通いを始め、その後容易に3ドル50セントのトールコーヒーを受け入れるような例が挙げられます。

習慣に疑問を持つべきこと

過去に何度も同じ決断をしてきたのだから、これこそ自分の望むお金の使い道だと思い込んでいる。

わたしにも色々と思い当たる節があります。知らず知らずのうちに、割高な消費が習慣化されているのかも。

この習慣に疑問を持つことからはじめてはどうだろう。この習慣はどんなふうにはじまったのか。つぎに、この習慣からどれだけの満足を得られるか自問してみる。思っていたのと同じだけの満足が得られるかどうか。少し節約して、残ったお金を何かべつのことに使ったほうがよくないだろうか。もっと言えば、何をするにつけても、自分が繰り返ししている行動に疑問を持つよう訓練すべきだ。

習慣化された行動や、いったん自分の「所有物」となった物や考え方は、わたしたちの行動に大きな影響を与え続けます。

本書を通じてたびたび触れられるテーマのひとつです。

わたしは去年から家計簿を作り直して消費の見直しを行っています。頻繁に購入していた市販の飲料をやめて水に変えるとか、スマホの料金プランを見直すとか、そういうことです。

今回この本を読むことで、自分の考え方や行動が理論化されて、ちょっとすっきりしました。

無理のない節約が習慣付けられるよう、今後も心掛けて行きたいですね。